ビザと相続についての気を付けたい事自筆証書遺言の方式緩和について

2019.12.13

自筆証書遺言は、全文自筆による事が必要でしたが、今回の民法改正で、一部変更がありました

① 自筆証書遺言における財産の特定に必要な事項(財産目録)については、自書による事を要せず、パソコンによる記載や、登記事項証明書や預貯金の通帳の写し添付する方法でもよい。
② 前述の場合、遺言者は、自書によらない部分がある全てのページに署名・押印をしなければならい。

この変更は、自筆証書遺言の作成には一助となりますが、そもそもの自筆証書遺言としての法定要件を満たしていない場合は、遺言としての効力が発揮されません。
以下に簡単に要件を整理しておきます。

① 書式
法定された書式はありませんが、遺言書である事を明確にするために、「遺言書」との標記はすべきです。また、用紙も法定されてはいません。文字が書けるものであれば、通常の便せん等で特に問題はありません。
② 筆記用具
筆記用具は、ボールペン、万年筆、筆などのいずれでも問題ありません。ただ、最近流行りのフリクション・ボールペン(消せるペン)や鉛筆などは改ざんや消去の問題がありますので、避けるべきです。
なお、全て自筆による事が要件(前述の財産目録は除く)ですので、パソコン、ワープロ、タイプライター、点字機等で作成した遺言や録画・録音による遺言は、自筆証書遺言としては無効です。
③ 作成日付
日付は、遺言成立時の遺言能力の有無や遺言の先後を確定するために必要とされます。日付は、西暦でも元号でもよく、また、「還暦の日」「喜寿の日」「50歳の誕生日」のように作成日付が特定できれば良いとされています。ただ、年月日を記載した方がよいのは間違いありません。
なお、遺言書に作成年月日の記載がないもの、年月だけで日付の記載がないものは無効とされます(最判昭和52年11月29日)
④ 氏名
氏名の自書は、誰が遺言者であるか明確にするために必要です。氏名は戸籍上の氏名を書くべきです。遺言者本人の同一性が認識できればよいので、通称名、芸名、雅号、ペンネームでもよいとされていますが、遺言執行時の事を考えれば、余計なトラブルの種は、極力排除すべきです。
⑤ 印
遺言書に押す印鑑は、実印や認印のほか、拇印でもよいとされていますが(最判平成元年2月16日)、明確性の点から、拇印は避けるべきです。また、花押は押印の要件を満たさないので、花押を印とした自筆証書遺言は無効です(最判平成28年6月3日)。
遺言書の契印は、民法上の要求はありませんが、実務では、一般的に袋とじなどを行ったうえで、契印をする取り扱いが行われているようです。

服部俊明行政書士事務所

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