ビザと相続についての気を付けたい事配偶者居住権の消滅について

2019.12.16

配偶者居住権を端的に説明すると、「居住している建物を一定期間、無償で使用・収益できる権利」ということになります。
ただ、これは制度上の趣旨からも譲渡は認められません(改正第1032条2項)。また、強制執行の対象にもなりません。
但し、配偶者居住権の登記前に、当該建物に対する差押えがなされたときは、配偶者居住権の取得を差押債権者に対抗することはできません

次に、配偶者居住権は、一身専属権であり、配偶者の死亡の場合、当然に消滅し、相続の対象となりません(改正第1036条、第597条3項)。
これは、相続税の二次相続の対応手段として使えます。

更に、配偶者居住権は譲渡することはできませんが、配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得た場合には、第三者(他人)に居住建物を使用・収益させることができます(改正第1032条3項)。
これは、配偶者が高齢になり老人ホームに入居する等の事情変更があり、居住建物からの転居を余儀なくされる場合に、居住建物の所有者の承諾を得て、居住建物を賃貸し、賃料を得る等の方法によって、配偶者居住権の価値を回収する手段を確保する必要があると考えられたからです。
なお、配偶者と居住建物の所有者が合意をし、居住建物の所有者に配偶者居住権を買い取ってもらうことは可能です。

この強力な配偶者居住権についての消滅原因は以下の6つです。

  • 存続期間の満了
  • 居住建物の所有者による消滅請求
  • 配偶者が死亡した場合
  • 居住建物の全部滅失等により、配偶者が使用・収益をすることができなくなった場合
  • 居住建物が配偶者の財産に属することになった場合。
  • 配偶者居住権は債権であることから、合意(改正第1036条、第613条3項)、権利放棄(改正第519条)によっても消滅します。

なお、各項の詳細については、次に譲ります。

服部俊明行政書士事務所

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