ビザと相続についての気を付けたい事預金債権の仮払い

2019.12.8

預貯金に関しては、今回の民法改正において、家庭裁判所に対して、預貯金債権についてのみ、他の共同相続人の利益を害しない限り、仮払いの申し立てをすることができるとの定めとしました。 更に改正民法909条の2では、遺産に属する預貯金債権のうち、その相続開始の時の債権額の3分の1に当該共同相続人の法定相続分を乗じた額については単独でその権利を行使することができることを定めました。

(但し、標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者(金融機関)ごとに法務省令で定める額を限度とする。)

「単独で払い戻しすることができる額」=(相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)×(1/3)×(当該払い戻しを求める共同相続人の法定相続分)  

*ただし、金融機関ごとに払い戻し認める上限額については法務省令で定める。

なお、払い戻しを受けた(権利行使された)預貯金債権については、「当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。」と定めています。これは、

①誰が払い戻しを受けたかは客観的に明らかであり、

②当該権利行使された預貯金債権を当該権利行使をした相続人以外に遺産分割において帰属させる合理的理由もないことから、

払い戻しを受けた共同相続人がこれを取得したものとみなす事にしたものです。 但し、あくまでも共有法理の例外を設けたものですから、第三者が相続人の準共有持ち分を差し押さえ場合には、その相続人は、差押えによる処分禁止効により、払い戻しを受けることができなくなると考えられます。 しかし、今後の実務上の問題として、払い戻しをする金融機関が払い戻し額の根拠となる事実証明をどの程度要求してくるのか。また、実際の手続きに際して、どのような書面が必要となるかということは、今後の実務における課題となります。護送船団方式を捨てきれず、責任問題の発生を避ける傾向にある金融機関が迅速に法令改正に対応することは考え難いとも思えます。

服部俊明行政書士事務所

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