相続についての気を付けたい事故人の債務・借金の調査方法について

2025.10.4

先日、久しぶりに「被相続人(故人)の債務調査」についてのご相談をいただきました。相続手続きにおいて、故人の債務の有無は非常に重要なポイントです。今回は、相続放棄を検討する際に必要となる「故人の債務・借金の調査方法」について、実務的な視点から整理しておきます。


相続放棄と債務調査の関係

故人の財産には、預貯金や不動産などの「プラスの財産」だけでなく、借金や未払い金などの「マイナスの財産」も含まれます。もしマイナスの財産の方が多い場合、相続放棄を選択することが合理的な判断となることもあります。

ただし、相続放棄には期限があります。相続が開始したことを知った日から3ヵ月以内(熟慮期間)に、家庭裁判所へ申述しなければなりません。そのためには、故人の債務の有無と内容を迅速かつ正確に調査する必要があります。


債務調査の具体的な方法

郵便物や保管書類の確認

まずは、故人宛に届いた郵便物を確認しましょう。借金がある場合、債権者から督促状や通知が届くことがあります。また、故人が保管していた契約書や返済計画書などの書類も重要な手がかりになります。

通帳の記録を確認

通帳には、借金やローンの返済履歴が記録されていることがあります。毎月の引き落としや振込履歴から、金融機関との取引状況を把握することができます。

信用情報機関への開示請求

さらに詳しく調べたい場合は、信用情報機関への開示請求が有効です。以下の3機関が代表的です。

機関名対象となる債務開示請求可能者手数料備考
JICC(日本信用情報機構)消費者金融・クレジット会社配偶者または2親等以内の血族窓口500円/郵送1,000円必要書類:本人確認書類、戸籍謄本、除籍謄本等
CIC(指定信用情報機関)クレジット会社配偶者または子(郵送は他の法定相続人も可)窓口500円/郵送1,000円同上
KSC(全国銀行個人信用情報センター)銀行ローン等法定相続人郵送1,000円同上

※代理人(行政書士・司法書士・弁護士)による申請も可能です。


個人間の借金はどう調べる?

友人や知人との間での借金は、信用情報機関では把握できません。借用証書やメモなどの書類が残っていない限り、確認は困難です。保管物の中にそれらの書類がないか、丁寧に探す必要があります。


熟慮期間の延長について

3ヵ月の熟慮期間内に調査が間に合わない場合は、家庭裁判所に申し立てることで期間の延長が認められることもあります。手続きには根拠と理由が必要ですので、早めの対応が肝心です。


まとめ:債務調査は時間との勝負

債務調査は、思った以上に時間と手間がかかります。信用情報機関への開示請求は郵送対応が中心で、複数機関に申請する場合は3ヵ月の熟慮期間があっという間に過ぎてしまうこともあります。

また、個人間の借金は書類がなければ確認が難しく、事前にある程度の情報を把握しておくことが望ましいです。

相続放棄を検討されている方は、できるだけ早く調査を開始し、必要に応じて専門家へご相談ください。ご自身の権利と責任を守るためにも、慎重かつ迅速な対応が求められます。


ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。相続に関する複雑な手続きも、丁寧にサポートいたします。

服部俊明行政書士事務所

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