ビザと相続についての気を付けたい事「配偶者居住権」
改正民法では、「配偶者居住権」について、第1028条から第1036条が追加されています。 また、併せて不動産登記法でも登記できる権利として、「配偶者居住権」が第3条9項に追加されました。 配偶者居住権の内容については、以下の通りです。 /
- 1.相続開始時に居住していた建物(一部居住でも建物全体に対して成立)
- 2.遺産分割で取得を認められるか、遺贈の目的とされた場合に取得
- 3.原則として終身権(但し、別段の定めがある場合は除く)
- 4.登記することにより第三者に対抗可(登記のみが対抗要件) つまり、先に登記されると、対抗出来なくなる(権利が主張出来ない)
- 5.妨害停止請求、妨害排除請求、返還請求も可能
- 6.相続財産の対象(相続税の対象)
一般論として、配偶者と子が相続人の場合、相続税の計算に際して、配偶者居住権を設定すると、不動産(自宅)の所有権が子、配偶者が配偶者居住権を相続する場合、自宅不動産の所有権相続税評価額は、配偶者居住権を差し引いた残額となるので、相続税の低減要因となります。 また、配偶者居住権は、一身専属権なので、それ以降(二次相続)、相続される事はないので、配偶者から子への相続財産とはなりません。(詳細、申告手続きについては、税理士等にご確認ください)
配偶者居住権は、適正に使用すれば、相続人にとって、非常に使い勝手の良い制度だと思います。 注意すべき点としては、今回の民法改正により、登記の先後で、第三者対抗要件(他人に権利の主張が出来るか)が決まってきますので、相続開始後、迅速な手続きが必要になると思われます。 以前(旧法)であれば、遺言書に記載があれば、第三者からでも取り戻せましたが、今回の改正民法では、配偶者居住権に限らず、原則として先に登記をした第三者(他人)に勝てませんので、ご注意ください。
服部俊明行政書士事務所
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