相続・会計記帳について気を付けたい事未知の相続人が判明した場合について

2025.12.24

相続手続きの途中で未知の相続人が判明した場合、法定相続人として必ず遺産分割協議に参加していただく必要があります。

戸籍調査・連絡・協議の進め方には法律上の手順があり、誠実かつ迅速な対応が円満解決の鍵となります。

未知の相続人が判明する場面

• 被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍を収集する過程で、これまで知られていなかった兄弟姉妹や婚外子が確認されることがあります。

• 兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子(甥・姪)が代襲相続人として相続権を持ちます(民法第887条第2項)。

法律上の位置づけ

• 遺産分割協議は相続人全員の合意が必要(民法第907条)。一人でも欠けると協議は無効となり、後に判明した相続人から異議を唱えられる可能性があります。

• 相続税申告(期限は10か月)や不動産の名義変更も、相続人全員の確認がなければ進められません。

初期対応の流れ

1. 戸籍調査

• 被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し、相続人を確定。

• 戸籍の附票や住民票で住所を確認。

2.連絡・通知

• 書面で丁寧に連絡し、相続開始の事実と遺産分割協議への参加を依頼。

• 面識がない場合は誤解を避けるため、誠意ある説明が不可欠。

3.所在不明の場合の対応

• 連絡が取れない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申立てを行うことが可能(民法第25条)。

• 長期の行方不明者には失踪宣告制度(民法第30条)を利用できる場合もあります。

専門家に依頼するメリット

• 戸籍収集は複数自治体にまたがることがあり、古い戸籍は解読が難しいため、専門知識が必要です。

• 行政書士や司法書士、弁護士に依頼することで、法令に則った正確な調査と中立的な連絡が可能になります。

• 第三者が介入することで、感情的な摩擦を避け、協議を円滑に進められる可能性が高まります。

まとめ

• 未知の相続人が判明した場合、必ず法定相続人として扱う必要がある。

• 調査・連絡を怠ると、協議が無効となり後のトラブルにつながる。

• 迅速かつ誠実な対応が信頼関係を築き、円満な解決につながる。

• 専門家への早めの相談が安心と確実性をもたらします。

項目不在者財産管理人選任(民法第25条等)失踪宣告(民法第30条等)
目的行方不明者の財産を保全し、相続や契約など必要な手続きを進めるため長期間行方不明の者を法律上「死亡」とみなし、相続や婚姻関係を確定させるため
申立人利害関係人(相続人、債権者など)または検察官利害関係人(相続人、配偶者など)または検察官
申立先不在者の住所地を管轄する家庭裁判所不在者の住所地を管轄する家庭裁判所
必要書類– 申立書
– 不在者の戸籍謄本・住民票除票
– 利害関係を示す資料(相続関係図、遺産内容など)
– 申立書
– 不在者の戸籍謄本・住民票除票
– 行方不明期間を証する資料(警察届出、証言など)
要件– 不在者が一定期間所在不明
– 財産管理の必要性があること
– 普通失踪:7年間生死不明
– 特別失踪:戦争・船舶遭難など危難に遭遇後1年間生死不明
裁判所の判断財産管理人を選任し、権限を付与(財産の保存・処分など)失踪宣告を下し、法律上死亡とみなす
効果– 財産管理人が不在者の財産を管理・処分できる
– 相続手続きは不在者本人が存命扱いのため未確定
– 不在者は法律上死亡と扱われる
– 相続開始、婚姻関係終了など法的効果が生じる
期間不在者が帰還すれば終了。裁判所が必要に応じて管理人を解任可能不在者が生存していることが判明すれば、失踪宣告は取り消される(民法第32条)

服部俊明行政書士事務所

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