相続・会計記帳について気を付けたい事資金管理の制度設計において注意すべき点
先日、ある中小企業で経理担当者による横領事件が発覚したという話を耳にしました。長年信頼していた社員による不正に、経営者は大きなショックを受けたそうです。このような事例は決して特別なものではなく、資金管理の制度設計に潜むリスクを改めて考えさせられます。
会計上の資金は帳簿上では単なる数字に過ぎませんが、資金管理の現場では実際に存在する「お金」であり、その扱いには常にリスクが伴います。帳簿や伝票による管理は、確認・承認の手続きを厳格にすることで一定の抑止効果を持ちます。しかし、資金管理者が直接「お金」に触れられる状況そのものが危険であることを忘れてはなりません。
どのような組織であっても(上場企業や金融機関を含め)、一人の意思だけで資金を動かせる体制は避けるべきです。帳簿上の手続きをいくら厳格にしても、現場での不正を見抜けなければ、単に煩雑な手続きが増えるだけになってしまいます。したがって、現場の管理体制には、実務を熟知した人材を適切に配置することが不可欠です。
近年「プレーイングマネージャー」という言葉を耳にしますが、実際には多くの管理者が実務に追われ、十分な管理業務を果たせていないのが現状です。さらに、管理者自身による不正を防止できないという問題もあります。現場と管理者の役割を明確に分けることこそが、資金の横領を防ぐ鍵となります。
「人員不足で適切な配置が難しい」という声も理解できます。しかし、適正な人員配置と報酬を整えれば、人材は確保できるはずです。経営者が語る人員不足は、実際には「低賃金で働く人材がいない」という意味に聞こえることもあります。昔から「貧すれば鈍す」という言葉があるように、金融機関ではお客様の預金に手を出す気持ちが起きないよう、十分な給与を支払っていたという話も伝わっています。これは、制度設計と報酬の適正化が不正防止に直結することを示す好例でしょう。
資金管理の制度設計には、費用や手間がかかります。しかし、それを惜しまずに整備することこそが、将来の安全・安心につながるのです。
行政書士としての支援姿勢
資金管理の仕組みづくりは、経営者の方にとって頭を悩ませる課題の一つです。制度設計や内部統制の見直しは、専門的な知識と実務経験が求められます。行政書士として、私はお客様の状況に応じた制度設計のご提案や、社内規程の整備、契約書の作成などを通じて、安心できる経営環境づくりをお手伝いしています。資金管理に不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
服部俊明行政書士事務所
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